定期購読ドール
誰かに似ているように感じられていたそのドールは、半分溶けてしまって、もう顔がわからなかった。


「出ようよ」


千夏がアケミを促す。


チャイムは鳴り続けていて、止まる気配もなかった。


「でも、コレが完成したらどうなるか……!」


立ち上がろうとする千夏を止め、アケミが言った。


「そうだけど……」


チャイムは異常なほど鳴り続けている。


普通なら諦めて帰るハズなのに、ガチャガチャとドアノブを回す音まで聞こえて来た。


「ヒィ!」


アケミが悲鳴をあげ、クッションを頭に被せてうずくまった。
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