定期購読ドール
☆☆☆

「そんなことがあったなんて……」


千夏は写真の中の花を見てそう呟いた。


頑張って思い出そうとしてみても、思い出すことができなかった。


まるで、記憶がかたくに蓋をしているようだ。


「それだけじゃない。花イジメは中学3年生まで続いたんだから」


アケミが泣きはらした顔でそう言った。


「そんなに長く? どうして?」


そう聞く千夏にアケミは短く笑い声を上げた。


「あんたってホント気楽でいいよね! 自分でやったことも全部忘れてるんだから!!」


それはただの八つ当たりだったが、怒鳴らずにはいられなかった。


同じように花をイジメて、同じように花の聴覚を奪ったのに、自分だけ良い子のつもりで生きている千夏が許せなかった。


「イジメが長引いたのは、あんたのせいだよ、千夏」
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