定期購読ドール
いつも自分に暴力をふるうメンバー。


いつも自分からお金を奪うメンバー。


いつも自分に万引きをさせるメンバー。


それらから逃げるように、花は金網を上りはじめた。


その瞬間歓声が沸き上がる。


自分が死に近づけば近づくほど、笑い声は大きくなる。


「ひっ……うっ……」


涙と過呼吸と混乱。


体はとても熱を帯びているのに、なぜか寒くて震えが止まらない。


だけど、とにかく逃げて、逃げて、逃げて。


そうして金網の上に到達すると、灰色のコンクリートが見えた。
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