定期購読ドール
☆☆☆

その後、アケミと千夏は花の家を訪れていた。


自転車で20分ほどの場所に建つ、小さな白い家はポツン咲いた花のように見えた。


「そうだった、ここが花の家だ……」


家の前で自転車を止め、千夏がそう呟く。


花が学校に来なかった時、数人でこの家に押しかけたことがある。


花の両親が共働きだと知っていたから、強引に押し入ってイジメたのだ。


どうしてあそこまでしてしまったんだろう。


学校にも家にも居場所のない花は、毎日どんな気持ちでいたのだろう。


そう思うと胸が痛んだ。


でも、当時の自分は花の気持ちを考えることなんてしなかった。


ただ、彼氏を奪われたという怒りだけで動いていた。
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