定期購読ドール
「行こう」


アケミが千夏の前に立ち、チャイムを鳴らした。


誰もいないかもしれないと思っていたが、家の中から足音が聞こえてきて、すぐにドアが開いた。


「はい」


そう言って玄関を開けてくれたのは、久しぶりに見る花の母親だった。


当時はもっと若々しくて綺麗な人だったけれど、今は白髪もシワも増えて随分と老けてしまっている。


自分たちの親と比べても、年上に見えた。


「あの、あたしたち中学が同じだった……」


「相原さんと野田さんね」


花の母親はふたりを見てすぐにそう言った。


アケミが自己紹介しなくても、見ただけでわかったようだ。
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