定期購読ドール
☆☆☆

リビングに置かれた仏壇は昔ながらの大きなものだった。


この家に似つかわしくないほどの存在感を放っている。


飾れている花の写真は、ざっと数えただけでも30枚はありそうで、所狭しと置かれている。


仏壇の横には花が通うはずだった高校の教科書が積まれていて、すべての科目にシオリが挟まっていた。


「毎日ここで教科書を読んで授業をしているのよ。あの子、勉強するのが好きだったから」


母親の説明に千夏はゴクリと唾を飲み込んだ。


ここを見るだけで花への執着が理解できた。


長居をしてボロが出れば、自分たちはただじゃ済まされないだろう。


アケミと千夏は仏壇の前に座り、花の遺影を見つめた。


中学入学時のもののようで、写真の中の花は弾けんばかりの笑顔を見せている。


手を合わせ、深く頭を垂れる。
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