定期購読ドール
どうか呪いが終りますように。


どうか許してもらえますように。


そんな気持ちでおがみ、顔を上げた。


その瞬間、果物ナイフを片手に持った母親が立っていて二人は同時に息を飲んだ。


母親はニタリとした笑みを浮かべている。


「リンゴを剥いたの。花の好物なんだけど、食べて行かない?」


体を左右に揺らしながらそう聞いてくる母親はどこか異常で、千夏は左右に首を振った。


「い、いえ。あたしたちはもう、これで……」


そう言って立ち上がる。
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