定期購読ドール
「あら、残念。せっかく花の友達が来てくれたのに。ねぇ、花?」


写真へ向けてほほ笑みかける。


アケミと千夏はそそくさとリビングのドアへ向かって歩き出した。


この母親はどこか変だ。


「学校に友達なんていないと思ってたから、嬉しかったのに」


母親のその言葉に、千夏は一瞬立ち止まってしまった。


喉の奥から『なにか知ってるんですか?』という言葉が出かかった。


しかし、「行こう」と言うアケミに腕を引かれ、千夏は転げるように家を出たのだった。
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