定期購読ドール
☆☆☆

「あの母親、絶対なにか知ってる!」


自転車をこぎながら千夏は言った。


「そんなワケないじゃん。千夏が気絶してる間にイジメは隠したって言ったでしょ」


「でもあの態度……!」


母親の、射るような視線を思い出すと、寒気がした。


「心配しなくても平気。証拠は残ってないから」


「どうしてそう言い切れるの!?」


「……あたしたちは花の両親の出勤時間まで知ってた。花から奪った家の鍵でスペアキーも作ってた。花が死んだ後、あの家に入り込んですべての証拠は処分したんだよ」


日記や、クラスメートから送られて来た手紙やメール。


千夏が記憶を無くしている間にアケミたちは動きまわっていたのだ。
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