定期購読ドール
アケミだってその意見には賛成だった。


なにもなければ和明とどこかへ行きたかった。


でも、ダメだった。


「ごめん。今日も予定があるから」


そう言って和明に背を向け、歩き出そうとする。


和明はそんなアケミの肩に手を伸ばし、引き止めた。


「なんでだよ。毎日毎日二人でどこに行ってんだよ」


「……言えない」


和明は花のことは知らなかった。


けれど、言えば花の過去を探りはじめるかもしれない。


それだけは避けたかった。


「なんで俺に言えないんだよ!」
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