定期購読ドール
和明が声を荒げても、アケミの気持ちは変わらなかった。


今まで花の死を口に出した仲間は誰もいない。


数十人の仲間たちが沈黙を守っているのだ。


アケミがなにか言いかけた、その時だった。


教室後方から「和明、一緒に帰ろう?」と言う声が聞こえて来たのだ。


驚いてそちらへ視線を向けるアケミと千夏。


そこに立っていたのは、涙だったのだ。


「涙……」


和明がアケミの肩から手を離す。


「え……なんで?」


そう言ったのは千夏だった。


混乱したように和明と涙を交互に見る。
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