定期購読ドール
値段だって人間の服と大差ない。


ものによれば自分たちが着ているものよりも、ずっと高かった。


「あ、あのコーナーがコラボ商品みたいだよ」


店の一角を指さして千夏が言う。


そこには雑誌とのコラボ商品が並んでいた。


「服や小物だけじゃなくて、目とか輪郭も売ってるね」


「これじゃ雑誌のドールのは全く違うものができるんじゃない?」


不服そうに、アケミがそう言った。


けれど、専用に作られたパーツでなければ胴体につけることはできない。


「これを使えば本当に和明の顔ができそうだよねぇ」


千夏がそう言い、アケミがパーツに視線を落とした。


確かに、これだけの種類があればできそうだ。


ゴクリと喉を鳴らして唾を飲み込む。


「1万円で買えるパーツには限度があるから、もっとお金を持って出直してこなきゃね」


アケミはそう言ったのだった。
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