定期購読ドール
本当は触れたくなかったけれど、玄関先に置いておくわけにもいかない。


「千夏」


そう声をかけられて、思わず叫び声を上げそうになった。


後ろを振り向くと、ドールを持ったアケミが立っていた。


その表情は何かを決意しているように見える。


「これを持って花のお墓へ行こう」


「え……」


「この人形を花に返す」


アケミはそう言ったのだった。
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