定期購読ドール
墓石
花のお墓に到着した時、周囲は薄暗くなり始めていた。


前回来た時はそれほど遠くないと思っていたけれど、実際は結構距離があったみたいだ。


二人はドールを片手に握りしめ、大股で鼻のお墓へと近づいていく。


薄暗い中で見るお墓は、それだけで気味が悪かった。


「あんたでしょ」


アケミが墓石へ向けてそう言った。


「あんたがこれを送りつけてきてるんでしょ!?」


叫び声を上げ、ドールを花の墓石に投げつけた。


ドールは鈍い音を立て、地面に落下する。


ぶつかった拍子に頭部がベッコリとへこんでしまい、更に気味悪さが増していた。


「なんでこんなことすんの? あたしを怨んでるから!?」
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