定期購読ドール
「内田へのイジメも、涙へのイジメも、全部知ってる。だけど、それでも俺はアケミのことが好きだった」


良樹はそう言い、アケミへ視線を向ける。


熱っぽい視線を受け取る事ができなくて、アケミは視線を外したままだった。


「俺の気持ちはきっと報われない。そう思った時、自殺した花に似てると思ったんだ。花の気持ちは誰も酌んでくれなかったから……。俺と花は似てるんじゃないかと思った」


「それで、花の呪いをドールにかけたの?」


千夏がそう聞いた。


良樹はニッコリとほほ笑んで頷く。


「そうだよ。まずは花の無念を呼び起こさないといけなかったから、花の両親に手伝ってもらうことにした」


その言葉にアケミは老け込んでしまった花の母親を思い出していた。


「俺は、中学で起こっていた出来事のすべてを両親に話した」


千夏はおおきく息を吐きだした。
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