定期購読ドール
「考えてみてよ? 好きな相手が自分の作ったドールのことで頭がいっぱいになってるんだぞ?


全く見向きもしてくれないアケミが、俺の作品で右往左往してるんだ。ゾクゾクしたよ。やっと俺の気持ちが通じたと思った」


心底嬉しそうな表情で言う良樹。


その目は焦点が合わず、笑っている口もとからはヨダレが垂れていた。


「ちょっとおかしいんじゃないの!?」


アケミが叫び声を上げる。


それでも良樹は笑顔を向けたままだった。


「涙に過去の事を話したのもあんた?」


千夏の質問に、良樹は左右に首をふった。


「それは違う。あの子は君たち二人に『許さない』と言ったはずだ。全部一人で情報を集めたんだ」


どこから情報を集めたのかわからないが、登校拒否をしている間に随分と動き回ったのだろう。
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