定期購読ドール
しかし、髪の毛は余計にスピードを上げ、あっという間に腰の高さまで這いあがってきていた。


「もうすぐ終わるよ。なにもかもが……」


良樹がうっとりとした口調でそう言い、アケミの頬に舌をはわせた。


髪の毛は胸元まで絡み付いて来ていて、すでにがんじがらめの状態だ。


「助けて……お願いだから……」


ガタガタと体が震えて、声も思うように出てこない。


それでも二人は懸命に訴えかけた。


「それ、花も内田も涙も言ったんじゃない?」


ニタニタとした笑みを浮かべて良樹が言う。


「助けてって言われた時、君たちはどうした?」


良樹の質問に答えられず、ひたすら嗚咽を漏らすアケミ。


千夏は恐怖から失禁してしまい、ずっと俯いたままだった。
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