定期購読ドール
☆☆☆

千夏はこれから用事があるようで、ファミレスで別れることになった。


しかし、家にいても暇でやることのないアケミは、1人で商店街へと向かっていた。


特に目的はないけれど、商店街の中にある唯一のパン屋さんを思い出していた。


今日のおやつに買って帰ろう。


そう思って足を進める。


「あ……」


目的のパン屋さんまであと少しのところで、よく知った顔を見つけて立ち止まっていた。


アケミの視線の先にいるのは和明だ。


私服姿の和明にドクンッと心臓が高鳴る。


「ラッキー。こういう時の為のオシャレなんだから」


アケミはそう呟き、ショーウインドーに写った自分の姿を確認した。
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