定期購読ドール
和明が戻ってこないか確認したのだろう。


「聞いてるんだけど?」


腕組みをしてそう聞くと、女の子は怯えた表情をアケミへ向けた。


「あたしは……石川涙(イシカワ ルイ)です」


その声は震え、名前の通り泣き出してしまいそうだ。


弱弱しい姿を見て鼻で笑う。


「和明の彼女とか?」


続けてそう聞くと、石川涙はほんのりと頬を赤らめ、左右に首を振った。


「まだ……」


照れながらそう言う石川涙にアケミはニヤリと笑った。


付き合っているわけではなかったのだ。


それならなんの問題もない。
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