定期購読ドール
こらしめる
石川涙と和明の関係がギクシャクしているおかげで、距離が縮まってきた。


そう感じたアケミは鼻歌まじりに食堂へと向かっていた。


「今朝とは打って変わってご機嫌だねぇ」


隣で歩く千夏も嬉しそうだ。


「まぁね。千夏の言う通り、あたしたち生ぬるく生きてきてないもんね。あたしらにはあたしらのやり方がある」


「あはは。言い方を変えれば奪い取るだけだけどね」


「やめてよ千夏、それじゃあたしが悪者みたいじゃん」


アケミはそう言って眉間にシワを寄せた。


みんなが自分たちに従順に従うだけ。


あたしたちは別になにもしていない。


そう思い込むことで、自分を正当化してきた。
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