定期購読ドール
どれだけヒドイことをしても、相手にも非があったと、強引に責任を押し付けて来た。


それで今まで通ってきたのだから、今更変える気もない。


「あ、あの子……」


食堂の入り口まで来たとき、千夏が立ち止まって1人の生徒を指さした。


指の先にいたのは石川涙だ。


購買のパンを購入して出て来たようだけど、その表情はやけに暗い。


和明との喧嘩が原因かもしれない。


「涙ちゃん、今日は元気ないけど、どうした?」


1人の男子生徒が、涙の後ろからそう声をかけている。


涙は立ち止まり、小さな声で何か話しはじめた。


「お前、涙ちゃんにちょっかい出してんなよ」


そんな様子を見た数人の男子生徒たちが、あっという間に集まって来る。


「なにあれ……」
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