定期購読ドール
「そうだよね。悪い顔を知らないだけなんじゃない?」


アケミが耕平へ向けて言う。


「どうだろうな? でも、クラス内ではすごい人気だよ。男女問わず友達も多いし」


耕平は浩と目を見合わせてそう言った。


その様子にアケミは苛立ちを感じて舌打ちをした。


石川涙の良い話を聞くためにふたりを呼び出したわけじゃない。


なにか弱味を握らないと意味がないのだ。


「じゃあ、みんな騙されてるんだね」


千夏が二人へ向けてそう言った。


「どういう意味だよ?」


浩が首を傾げた。


「昨日見たんだけど、あの子社会人の男と歩いてたよ」
< 61 / 316 >

この作品をシェア

pagetop