定期購読ドール
イジメ
「石川涙って知ってる?」


「B組の美人な子だろ?」


「あの子ヤバイらしいよ、援助交際してるんだって」


A組にそんな噂が流れて来たのは、6時間目の授業が始まる前だった。


すでにB組はその話題で持ち切りらしく、石川涙は一人で必死に否定して回っているらしい。


「ははっ。なんか面白くなって来たね」


まさかカナが聞き耳を立てているとは思わなかったけれど、結果的に良かった。


「本当だよねぇ。無駄に目立ってたから噂が流れて来るのも早かったね」


千夏もこの結果に満足のようで、ずっと上機嫌だ。


「でも、和明はさすがに落ち込んでるなぁ……」


アケミはそう呟いて、教室後方にいる和明を見た。


B組に石川涙の噂が流れついてから、ずっと一人でうつむいている。


「相当ショックだったんだろうね」


千夏がそう言うと、アケミが席を立っていた。
< 68 / 316 >

この作品をシェア

pagetop