定期購読ドール
☆☆☆

石川涙の上履がなくなったらしい。


放課後、下駄箱でウロウロしている石川涙を見て、アケミと千夏はそれを知った。


「本格的になってきたね」


千夏はウキウキする気持ちを抑えてそう言った。


「カナって子、かなりきつそうな性格だったもんね。あの子に目をつけられたら終わりだよ」


アケミはそう答え、小さな声で笑う。


困っている石川涙を無視して帰ろうとしていたその時だった。


「あ……」


アケミと視線があった石川涙が、小さく口を開けてそう言った。


ゲームセンターで会った生徒だと気が付いたようだ。


そんなの無視して帰ればいい。


そう思い、石川涙の隣を通り過ぎようとする。


「あの!」


その瞬間、声をかけられて立ち止まってしまった。
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