定期購読ドール
「あっそ。話しが終ったなら、あたしたちもう行くけど?」


「はい。引き止めてごめんなさい」


そう言って頭を下げる石川涙をその場に残し、ふたりは歩き出した。


「なんで敬語なの?」


大股で歩きながらアケミが言う。


「そこが清楚っぽくていいんじゃない?」


千夏はそう答えて肩をすくめた。


「同い年だってわかってるくせに、わざと敬語なんだよね? 随分計算高いじゃん」


イライラした気持ちを抑えきれず、道に転がっていた空き缶を思いっきり蹴り上げた。


「そんなにイライラしなくても大丈夫だよ。カナって子が勝手にやってくれるだろうから、人気も下がるし、和明も諦めると思うよ?」


「当然だよ。和明と付き合うのはこのあたしなんだから」


アケミはそう言い、深呼吸をして気持ちを落ち着かせたのだった。
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