定期購読ドール
「あはは! もっと切り刻んじゃえば?」


その中からカナの声が聞こえてきて、二人は自然と歩調を緩めていた。


「何してんの?」


後ろからアケミがそう声をかけると、三人の女子生徒たちは一瞬怯えたような顔になり、何かを隠した。


しかし、声をかけたのがアケミだとわかるとカナは笑顔を浮かべた。


「見る?」


そう言って手に持っていた物をアケミの前にかざして来た。


それはボロボロに切り刻まれた白い布で、紺色ラインが一本入っている。


「なにこれ、体操着?」


千夏が聞くと、カナは笑い声をあげながらうなづいた。


切り刻まれた布きれをよく見て切ると、《石川涙》という名前が書かれているのがわかった。
< 78 / 316 >

この作品をシェア

pagetop