定期購読ドール
アケミのことを疑いながらも、頑なに否定する必要もない。


歩き出した和明について、アケミと千夏は歩き出した。


「ちょっと、どうするの? イジメ現場を見られたらほっとかないかもよ?」


千夏が小声でそう聞いて来た。


アケミは険しい表情で「わかってる」と、返事をする。


けれど、一階分の階段を上がる間にいい案は浮かんでこなかった。


階段を上がり切った時、カナたちの下品な笑い声が聞こえてきて和明は立ち止まった。


「B組はなにやってんだ……?」


「そ、そんなこといいから。忘れ物!」


B組を覗こうとする和明の前に立ち、アケミが言った。


「なに焦ってんだよ」


和明はそう言い、アケミの体の横からB組の中を覗き込んだ。
< 83 / 316 >

この作品をシェア

pagetop