彼女のセカンドライフ
「大変申し上げにくいのですが……」
医師が神妙な面持ちで話し出した。
聞くと、病名は、膵頭部がん、多発肝転移で末期進行がん、ステージⅣbと告げられ、最後に、
「手の施しようがなく、完治は望めません」
の声に、一同落胆した。
誰も信じられないといった感じで、ただ茫然としていた。
「若い方がすい臓がんになるのは、あまり例は少ないのですが、全くないというわけではありません、ご家族の中で、もしすい臓がんを患われた方や、慢性膵炎をお持ちの方がいらっしゃるのなら、ご家族の方にも検査をお勧めいたします」と言う医師。
確かに武尊の母親の父は、七十過ぎですい臓がんを患い無くなっている。兄弟達も胃がんでこの世を去っていた。
更に武尊の父の兄弟も、肝臓がんで亡くなっていた。
そして武尊の母は現在、隠れ糖尿病だった。
危険因子が揃う分、武尊の遺伝率も高いと思われたが、喫煙歴もなく、飲酒歴もなかった分、稀だと言われた。
それから今後の治療法など、家族はその場で詳しく説明をされた。