彼女のセカンドライフ
村上がカームクロに入社した志望動機は、デザインに関わる仕事をしたかったから、またその部門で働きたかった。
でも実際入社してみたら、事務的なことばかりさせられ、毎日イライラしてうんざりしていた。もちろん、会社側も村上の才能を評価して雇用を決めた。
けれどなぜすぐに、企画側に配属させなかったか、凪美子は第一印象で彼の性質を見抜いていた。
そしてなぜ武尊をバイトに雇ったか、ちゃんと意味があった。
そんな凪美子の企みを知らず、あれこれとPCを触るも、時間は迫る気は焦るだけの村上は、先輩に叱られるのを回避するため、全てを、
「こ、これ、まとめてみんなのとこに送ってファイルにして送っといて、あと、会議の資料も作成だって! 出来たら僕のとこ持って来て!」
武尊に押し付けた。
「は? まとめて送ったあと、ファイルして送るってどういうことですか?」
武尊が聞き返すと、溜息を吐き、
「とにかくみんなの所にファイルを送れって」イライラしながら答えた。