彼女のセカンドライフ

「カームクロもやってたんだ⁉」武尊は思いながら、何気に視線を外すと、

いかにも〝 モテます! 〟的な、ブランドのスーツに身をまとった営業マン風の男と、腕組しながら、その営業マン男子と話す女性がいた。

相手の女性は、その姿だけで、自信に溢れているのが分かった。首にかかる髪を直す仕草がとても自然で、反ってそれが爽やかな魅力にさえ思えた。

女性の服に興味など持ったことがない武尊にでさえ、その人の服装がお洒落だと分かる。

落ち着いた赤のフレアスカートの丈は、ひざ下なのに野暮ったさがなく、ハードタイプのジャケットを羽織ることで甘さを抑える。もはや、彼女にしか出来ない服装、センスのいい、都会で働く女!

――異空間だ……

武尊は何となく場違いだと思い、その場を去ろうとした。すると、

「あら? 英君?」

誰かが自分を呼ぶ声がして、武尊は振り返った。

「……⁉」

相手の方を見るが、誰だか分からない。

「蓮見です」

「えっ⁉」
 
あの日合コンで出会った、凪美子だった。

随分と雰囲気も違って、この日は彼女、眼鏡も掛けていて、余計別人に見えた。

「知り合い?」側にいる営業マン風の男が、凪美子に話しかけていたが、

「まぁね」と軽くあしらった。

そして名刺を渡された。

 ――えっ!!

凪美子自身が合コンで、社長と言ってはいたが、まさかこの大手ブランドの社長だなんて……!!
 
名刺には、しっかりブランド名に並んで、〝 代表取締役社長 〟と書かれてあった。

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