God bless you!~第14話「森畑くん、と」
★★★右川カズミですが……そこに、立っていたのは
今日は朝イチでハルミ塾に立ち寄った。
届いているという受験票を受け取る。
だだだ……と3校分。一体いつから根回ししていたのか。のぞみちゃんも巻き込んで……やってくれたな。
塾から学校に向かう。今日は一段と寒さが増した。
今頃、学校は2時間目ぐらい……久しぶり、沢村とも会える。
あいつも追い込みだ。かなり疲れてるだろうな。
メールは来るけど、どうなんだ?どうなんだ?と、こっちの近況報告が知りたいらしかったが、そんな長いメール打つのがめんどいって。
3時間目が終わって、学校はちょうど休憩時間に差し掛かった。
クラスは、殆どはもう大学の決まっているやつらばかりで騒がしい。
滑り止めで短大を受験するヨリコと、吉凛女子短大の話で盛り上がる。
「そこだけお互い受かったら、一緒に行こうよ」と肩を叩きあった。
「ヘイ!ヘイ!ヘイ!」と永田が暴れている。そこら中が「「「「「カーモンベイビー♪」」」」」とやたら歌って踊る。床が軋む。マジうざいよ!
沢村を探した。
いつもの沢村グループはいる。
いつにもまして群がっているから、肝心のヤツが見えない。
「チビの顔見たくないんだって。サッサと職員室だよ」
早速、ビッチ藤谷がスリ寄った。まぁ、情報だけはありがとぅ。
アギングも居ない所を見ると、国立組で何か話があるのかもしれない。
4時間目の選択授業は、どうしても分かれてしまう。
お昼前に来ればよかった。沢村は4時間目が始まる頃になっても戻ってこなかったので、そのまま生徒会室に直行だな、と判断。
お昼には会えるよね。
そのまま4時間目を内職でボーッとやり過ごし、やっとお昼になった。
生徒会室には、チャラ枝さんとヤサグレ真木くんがいて、あんまり懐かしくて、「おーひーさーしーぶーりー」と抱き合う。
抱き合ったのは、当然、チャラ枝さんだけだ。
ヤサグレ真木くんは、「いつ攻撃されるか分かりませんから」と適度に距離をとる。いつまでビビるのか。成長しないな~。
迫る会長選挙の話を聞いた。去年の選挙をちょっと思い出して、笑える。しかし、こっちは今は選挙どころじゃない、マジな話。
どうせ会長はチャラ枝さんに決まりだ。あとは誰でもいいよ。
「沢村がもうじき来るよ」と言うと、2人は恐らく気をつかったんだろう。出ていった。
これは、追い出したに近かったな。にゃははは。
ドアの向こうに人影が。
ストレート沢村!間違いない。
大喜びでドアを開けると、そこに、立っていたのは……重森だった。

「おまえ、意外と魔性の女だな。森畑まで毒牙に掛けて」
塾にも海川あたりが居るのかと疑うほど、情報に精通している。
「塾で2人話してたぞ。沢村が、森畑におまえを譲るとかなんとか。自分には藤谷がいるからいいってさ」
嘘ばっかりだ。
とはいえ、塾でちょっとでも、そんな話になっているとは、正直困る。
今の所、あたしから沢村には、何にも言ってないから。
「そんな事より自分の試験どうなってんの」
「心配してくれんの」
「んなワケないでしょ。単に話題を変えたいだけ」
重森は、どんどん近づいてきた。
その様子に、いつかの悪夢が甦る。「何!何?何!?」
「わかったわかったっ!ごめん悪かった謝るさーせんっ!永田の大馬鹿も頭下げるってさ!」
せめて勢いぐらいは見せつけていないと、重森に呑まれてしまう。
最悪な事態が浮かんで、あたしでも震えがきた。
「来るな!あっち行け!」
それを重森は、鼻で笑った。
そのまま、どんどん追い詰めてくる。
あたしは、とうとう窓際に行き止まってしまった。
窓を開けて助けを求めようと伸ばした手を、重森が遮る。その手を振り払おうとしてバランスを崩したあたしは、その場に転がった。
遥か上から、重森が、あたしを見下ろす。
立ち上がろうとしたあたしのスカートの裾を、重森は踏み付けた。
簡単には動かない。まるで石のカタマリのように重い。
こっちが暴れて、動けば動くほど、スカートが引っ張られて、太ももが露わになる。
「つーか、こっちも仲間に入れてくれよ」
はるか頭上から聞こえた。
「いつかの続きをやろうぜ」
顔を上げたら、重森が笑いながら、あたしを見下している。
「あんた、こんな事やって、タダですむと思ってんの!もうじき、あいつ来るよ」
「沢村のヤツな。さっき売店で藤谷に掴まってた」
重森は、沢村が今日は登校している事を知っていた。
それでも堂々と、ここにやってくる。
重森の中で、沢村は絶対ここには来ないという確信があるからだ。
重森がいつにもまして大きく見えてくる。
重森はジリジリとスカートを踏みつけて、地面になすりつけた。
踏みつけられたスカートは、どんどん上に持ち上げられて、殆ど下着が見える所まで迫る。
重森の吐いた言葉は、あたしを震え上がらせ、そして翻弄した。
「さっそく、アソコ舐めてやろうか」
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