森と少女と道化師
地獄の風呂からやっとの思いで小屋に帰った。2.300mのはずが2.3kmにすら感じた。
以外にも鈴は上機嫌で寝る準備をしていた。
なぜか同じ部屋で寝ることになったがさっきの風呂に比べればましだ。お互い背を向けて寝ようとしている時鈴はいきなり
『あんたって自殺しようとした以外覚えていないの?』と聞いてきた。鍋の作り方は正直説明しろと言われると難しい。だがもう一つ自殺以外に覚えていることがあった。
『自殺する前に姿は見えなかったけど女の人が自殺を止めてきた』
それだけは思い出したのだ。なぜかニコニコしながら鈴は笑っていた。すると鈴は
『私も自殺しようとしてこの山に登ってきたんだ。親が離婚してしかも学校でいじめられるようになって、叔母に引き取られたけど気づいたら外にはほとんど出なくて、そんな時に自殺してやろうって思ったんだ』
と語っていた。こんなに明るいのに可愛いのにいじめられるのか。と
そんなことをいうと調子に乗ってしまうので言葉を飲み込み、そうかとだけ言った。しばらく沈黙が続いて鈴が寝たのを確認して僕も寝た。夜中寒かったので少し目が覚めた。そういえば僕はここに来る前どんな人だったんだろう、と一人で考えていると何か物音が夕食を食べた部屋から聞こえてきたので覗いて見るとそこには泣きながら何かメモのようなものを書いている鈴の姿があった。なんで泣いているのか聞こうか迷ったが僕はそっとまた布団に戻った。
< 7 / 23 >

この作品をシェア

pagetop