ラヴ・ミー・テンダー
「好きになった男…と言うか、好きなタイプはダメ男みたいで」

「あ、そこは違ってた」

「日生くん、ちょっと黙ろうか」

聖恵に言われて日生は口を閉じた。

「蜂須賀さんを好きになったのもダメ男そうだからって言う理由みたいで」

「どんな理由なんだ、それ。

男としては結構複雑な理由だな」

ミヤジは苦笑いをした。

「好きになる理由は何でもいいと思うわ」

そう言った聖恵に、
「そうかも知れないけど…」

ミヤジは何も言い返せない様子だった。

「理由はどうであれ、そう言えるのはすごいことだよね」

「ただたくましいよな」

日生はうんうんと首を縦に振ってうなずいた。

それからは自分が頼んだ飲み物を飲む時間が数分ほど続いた。
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