ラヴ・ミー・テンダー
引っ越し当日を迎えた。

「荷物はこれで全部ですね」

最後の段ボールを持ちあげた引っ越し業者に、
「はい、ありがとうございました」

私はお礼を言った。

「それでは」

引越し業者は会釈をすると、部屋を後にした。

荷物を全て運び出した部屋の中は空っぽになった。

当たり前だけど、部屋の中はとても広く感じられた。

冷蔵庫や電子レンジ、洗濯機などの家電製品は全てリサイクルショップに出した。

これから始まる生活がどうなるのかは、まだわからない。

「楽しくなるといいな」

そんな願いをこめながら、私は呟いた。

私は部屋の中を見回すと、
「今までお世話になりました」
と、ペコリと頭を下げた。

少しずつ、少しずつ…と、ゆっくりと前に進もうと思いながら、私は部屋を後にした。
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