ラヴ・ミー・テンダー
「聖恵?」

何故ブーケを差し出されたのかよくわからなくて、私は聖恵に聞いた。

聖恵はニコッと笑うと、
「次は陽葵の番だよ」
と、言った。

「わ、私の番?」

「そう、私の次に幸せになるのは陽葵だよ」

聖恵はそう言うと、私の手にブーケを持たせた。

「絶対に幸せになるんだよ?

陽葵はいろいろと大変な思いをしたんだから、幸せになって欲しいの」

「聖恵…」

花嫁の聖恵から受け取ったブーケを、私はそっと指でなでた。

「ありがとう、聖恵」

お礼を言った私に、
「大切な幼なじみなんだから」

聖恵はニッと歯を見せて得意気に笑った。

「楽しみにしてるぞ」

ミヤジがそう言ってポンと私の肩をたたいた。

「俺も早く花嫁姿が見たい」

親戚のおじさんの次はお父さんである。

「ありがとう」

そんな2人に、私はお礼を言った。
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