ラヴ・ミー・テンダー
「ただいまー」

「お帰りなさい、陽葵さん」

家に帰ると、スウエット姿の武智さんが迎えてくれた。

先にお風呂に入ったんだと思った。

「お風呂わいてるよ」

「ありがとう、入ってくる」

自室からパジャマと下着を持ってくると、バスルームへと足を向かわせた。

湯船に浸かると、私は息を吐いた。

「何となく、か…」

武智さん、ちゃんと答えてくれるのかな?

「でも、もしかしたら景さんの家族と顔をあわせることになるかも知れないし…」

そこまで呟いたところで、私は気づいた。

「そう言えば、景さんが私と一緒に暮らしていることを両親は知っているのかな…?」

今さら…本当に今さらではあるが、そこに気づいてしまった。
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