ラヴ・ミー・テンダー
お風呂を出てリビングに向かうと、武智さんはソファーに座ってテレビを見ていた。

キッチンに行って麦茶で乾いた喉を潤すと、
「景さん」

私は武智さんの隣に腰を下ろした。

「何?」

そう聞いてきた武智さんに、
「家族のこととか聞いてもいい?」

私は話を切り出した。

「家族?

何で急にそんなことを?」

聞いてきた私に武智さんは聞き返してきた。

「何となく気になったと言うか、それに…」

「それに?」

「景さんの家族は、私のことを知ってるかなって。

つきあっていることとか一緒に暮らしていることとか…早かれ遅かれ、顔をあわせることになるかも知れないし…」

「あー…」

武智さんは人差し指で頬をかいた。
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