ラヴ・ミー・テンダー
「じゃ、邪魔って…」

子供のことを邪魔だと思う親がいるだろうか？

だけども、武智さんの悲しそうな寂しそうなその表情に私は何も言うことができなかった。

「俺を引き取ったくせに、だけども俺には興味もなければ関心もなくて…俺のことが本当は邪魔だったんだろうなって」

「そ、それはちょっと考え過ぎだと思うよ…。

本当に何も思っていなかったら、景さんを引き取って自分で育てようって…」

小説家のくせに、何も言えない自分が情けない。

私が何を言っても、彼にとっては綺麗事にしか聞こえないだろう。

両親も兄弟姉妹もいる私が何を言っても、彼からしてみたら嫌味にしか聞こえないかも知れない。

「陽葵さん、励ましてくれてありがとう」

悲しそうにそう言った武智さんに、私は返事をすることができなかった。
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