ラヴ・ミー・テンダー
「最初から、いい夫婦なんていないんだ。

一緒に歩いて、時々はケンカもして、少しずつ夫婦になって行くんだよ。

それに…」

ミヤジはそこで言葉を区切ると、
「割り切っちゃうのが1番だよ」
と、言った。

「わ、割り切る…?」

聞き返した私に、
「自分は自分、親は親だと割り切ることだよ。

自分は自分で良好な関係を築いていけばいいんだよ」
と、ミヤジは答えた。

「なるほど…」

ストン…と、自分の中で何かが落ちたのがわかった。

「大事なのは、これから自分たちがどうしたいかって言うことだよ。

過去に囚われたって何も始まらない。

前を向いて、少しずつ歩いて、ゆっくりと時間をかけて形にすればいい」

そうだ、何で気づかなかったのだろうか?
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