ラヴ・ミー・テンダー
「カレー、美味しいです」

私がそう言ったら、
「作り甲斐があるよ」

武智さんは微笑んで答えてくれた。

食事を済ませると、一緒に後片づけを終えた。

「陽葵さん」

一緒にテレビを見ていたら、武智さんが声をかけてきた。

「はい」

私が返事をしたら、武智さんの端正な顔立ちが近づいてきた。

あっ、これはもしかしてくても…。

「ーーッ…」

そっと目を閉じた私の唇に、武智さんの唇が重なった。

これが彼と交わす初めてのキスだと言うことに、私は気づいた。

彼の唇が離れたのを確認すると、私は目を開けた。

私と目があうと、武智さんはイタズラっ子のようにフフッと笑った。

それが何だかかわいらしくて、そして幸せで私も彼につられるように笑ったのだった。
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