ラヴ・ミー・テンダー
私がマンガを受け取ったことを確認すると、彼は自分の分を手に取るとレジの方へと足を向かわせたのだった。

「な、何なんだ…」

彼の後ろ姿を見ながら、私は呟いた。

「早い遅いって、別に関係なくないか…?」

礼儀正しいんだかお人好しなんだか、外見と中身が全くと言っていいほどにあっていない気がする。

そう思っていたら、
「すみません、そこの本を取りたいんですけど…」

女子高生に声をかけられて、私はハッと我に返った。

そうだ、こんなところにいたら邪魔だ。

「えっ…ああ、すみません、失礼しました」

私は女子高生に謝ると、その場から離れた。

欲しいマンガを手に入れたし、早いところ会計を済ませよう。

そう思いながら、私は早足でレジへと向かったのだった。
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