ラヴ・ミー・テンダー
会計を済ませて本屋を後にすると、私は息を吐いた。

「…何をやっているんだ」

失恋のダメージは、思っている以上に大きいみたいだ。

ちょっと優しくされたくらいで何をしているんだ、私は。

高校生か中学生か小学生か。

相手は社交辞令くらいにしか思っていないぞ。

そう自分に言い聞かせると、
「さあ、飲みに行こう!」

気持ちを切り替えると、足を動かした。

締め切りまで頑張ったし、疲れたから今日はシンプルにお肉が食べたい気分だ。

「久しぶりに顔を出すか」

場所が決まったら、後はそこに向かうだけだ。

自宅からは少し遠いけど…明日の予定は特にないから、少しぐらい帰るのが遅くなっても構わないだろう。

そう思いながら、私は目的の飲み屋へと足を向かわせた。
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