ラヴ・ミー・テンダー
「要はどっちも考えるのが面倒くさかったんだろうって」

「そ、そうなんですか…」

確かに、名前を考えるのって面倒くさいよね。

職業が職業なので共感をします。

心の中でそんなことを呟いていたら、
「普段は何をされているんですか?」

武智さんが聞いてきた。

「…お仕事のこと、ですよね?」

私が聞き返したら、
「ええ、そうですが」

他に何があるんだとでも言うように武智さんは答えた。

それに対して“小説家”と答えたら、ロクな結果にならないことは目に見えている。

事実、私はそれで何度恋に破れただろうか?

「えっと…お、OLです」

私はウソをつくことにした。

だって、傷つきたくないんだもん…。
< 26 / 155 >

この作品をシェア

pagetop