ラヴ・ミー・テンダー
「はあ、もうどうすればいいんだろう…」

芽実はジョッキの中のビールを一気に飲み干すと、
「すみません、同じのをください」

店員を呼び止めて注文した。

「飲み過ぎじゃない?

もうそれくらいにした方がいいと思う」

私が声をかけたら、
「明日は休みだからいいじゃない。

今夜はつきあってよ、締め切りはもう終わったんでしょ?」

芽実に言い返された。

「まあ、そうだけど…」

私はやれやれと息を吐いた。

「彼氏とも別れたんでしょ?」

「…まあね」

癒えかけていた傷をえぐってきたなと思いながら、私は言った。

「本当にロクでもないヤツだったよね、その人。

私、そいつのことが大嫌いだったんだ」

意外なことを言った芽実に、
「えっ、そうなの?」

私は驚いて聞き返した。
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