ラヴ・ミー・テンダー
「大嫌いと言うか…こいつ、絶対に陽葵ちゃんを幸せにできないだろうなって思った。

陽葵ちゃんの仕事そのものに反対してるっぽかったし」

「彼に直接言われたって言う訳じゃないんだけど、“結婚したら仕事をキープしてくれるよね?”的なことは言われた」

「要は“結婚したら仕事を辞めろ”って言うことだよね?」

「…うん」

返事をした私に、芽実はふうっと息を吐いた。

「別れて大正解だよ。

陽葵ちゃん、小説家と言う職業に誇りを持って仕事をしているのに失礼だよ」

「両親が共働きの家庭で育った人だったからね。

お父さんもお母さんも正社員として定年まで働いたそうだから」

「だとしても失礼だよ、バカにしてる」

芽実は玉子焼きを口に入れた。
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