ラヴ・ミー・テンダー
すっかり酔っ払った芽実を抱えて串カツ屋を後にした。

「もう飲み過ぎだってば」

「いいのいいの、明日は休み!

あのバカに会わなくて大歓迎!」

「声が大きいわよ…」

全く、営業の仕事をしているだけに声が大きいうえに声がよく通る。

そう思いながら私たちは自宅に到着した。

「よっこいしょ…と」

酔い潰れて眠っている芽実をソファーのうえに置くと、彼女の躰に毛布をかけた。

先にお風呂に入る前に郵便物をチェックしようと思い、私は玄関に行くとドアポストを開けた。

「えーっと…」

だいたいはピザとかファーストフード店、不動産関係のチラシである。

「何かしら?」

それらを仕分けしながらゴミ箱に捨てていたら、白い封筒があった。
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