ラヴ・ミー・テンダー
宛先を見ると、特に何も書いていない。

ファンレターや読者からのプレゼントは編集部経由でこちらに届くことになっている。

メールやSNSでやりとりをすることが多いから手紙でやりとりをする心当たりがある人は特にいない。

何だか怖いし、このまま捨ててしまおうかと思った…けれど、もし何か大事な内容だったら捨てるのはダメか…。

私は封筒を破ると、中身を取り出した。

二つ折りになっている1枚の紙が出てきた。

パラッとそれを広げると、
「えっ…!?」

そこに書かれていた内容に、私は絶句した。

『先生が書いた新作「隣人ジュリエッタ」の結末が納得できません』

最初の文章はそれだった。

それだけだったら、ただの不満か…と私は息を吐いたことだろう。
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