ラヴ・ミー・テンダー
スマートフォンのマップアプリを見ながら目的地へと向かった。

「ここだ」

場所は間違いないし、看板に『サイクルショップ コイケ』と書いてあるし、店は開いている。

「すみませーん」

声をかけて店内に足を踏み入れたら、
「はい…」

「あっ…」

見知ったその顔に、私たちはそろって声をあげた。

「佃さん…?」

「武智さん、ですよね…?」

店内にいたのは、黒のつなぎ服に身を包んだ武智さんだった。

「えっと…」

何でいるんだろうと思ったけれど、すぐに思い出した。

そうだ、教えてもらったんだ!

ここで『サイクルショップ コイケ』で働いていることを教えてもらったんだった!

「こ、こんにちは…」

あいさつをした私に、
「こんにちは、先日はどうも」

武智さんはあいさつを返した。
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