ラヴ・ミー・テンダー
「今日は?」

「えっと、自転車の修理をお願いしにきまして…。

後輪がパンクをしてしまったみたいで」

「そうでしたか」

私は店内に自転車を入れると、
「これなんですけれど」
と、武智さんに見せた。

「はい」

武智さんは手慣れたように作業を始めた。

器用にリアホイールを外すその横顔を私は見ていた。

本当にかっこいいな…。

修理を頼もうと思って訪ねたら、武智さんが働いているところだったなんて…。

偶然…にしては、何だかでき過ぎているような気がする。

そんなことを思っていたら、
「あれ?」

武智さんは声をあげた。

「あの、何か…?」

どうしたのだろうと思いながら声をかけると、
「ここへくる途中に何か刃物を踏んづけたりしました?」

武智さんが聞いてきた。
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