ラヴ・ミー・テンダー
「刃物ですか?」

質問の意味がわからなくて聞き返した私に、
「道端に落ちていたカッターナイフの刃とか、何かそう言ったものを踏みましたか?」

武智さんは言った。

そんなものはなかったはずだ。

そう思いながら、
「特には心当たりはありませんが…あの、何でですか?」

私は聞いた。

「タイヤを確認して見ましたら切られたような跡がありまして…どうやら、これがパンクの原因みたいで」

「切られたような跡が…」

嫌な予感しかしなかった。

手紙と言い、自転車と言い、一体何なのだろうか?

「佃さん?」

武智さんに声をかけられて、私はハッと我に返った。

「は、はい…」

返事をした私に、
「何か心当たりがあるんですか?」

武智さんが聞いてきた。
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